その昔、五月見舞いとして春の農繁期に嫁の実家から嫁ぎ先に、焼鯖を持っていく陣中見舞いという湖北独特の習慣がありました。忙しい中で肩身の狭い思いをしていないか、栄養はきちんと摂れているか、そんな親の娘への思いやりの形でした。そのまま酢醤油で食べてもおいしいのですが、長浜ではひと手間加えて焼鯖そうめんを作りました。
焼鯖そうめんは熱いものも、なまあたたかいものも、冷えたものも、それぞれうまく、特に一昔前までは田圃仕事の忙しい最中の食べ物としては、最高の知恵料理として重宝がられました。
そうめんなのに汁がないので、こぼれず栄養があり、食べやすく、すぐ口にほうばれてうまいとくれば、こんなにいいものはありません。
生活スタイルがだんだん都市化していく中で、郷土のおふくろの味から遠ざかっていくのは、なんとも淋しい限りです。
わたしたちは、一人でも多くの方々に長浜の味を召し上がっていただきたい気持ちで、日々変わらぬ味を守り続けています。
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